内臓脂肪の蓄積が死につながる!?メタボリックシンドローム

イラスト  「最近お腹が出てきた」「健康診断で血糖値や血圧が『やや高め』といわれた」ということはありませんか?
  「ある」と答えた人の中には、「わかってはいるけれど、何の対策もしていない」という人も多いのではないでしょうか。しかし、その状態は、まさにメタボリックシンドロームかもしれません。

contents
メタボリックシンドロームとは?
危険因子が重なると心臓病のリスクが急増
黒幕は内臓脂肪!?
メタボリックシンドロームチェック
今すぐできる!! メタボリックシンドローム対策
食生活編 運動編チェック編
メタボリックシンドロームとは?

  「メタボリックシンドローム」とは、簡単にいうと、「内臓脂肪の蓄積」を基盤として、「高血糖」、「高血圧」、「高脂血症」などの生活習慣病が複数合併した状態のことをいいます。この状態になると、たとえ個々の異常が軽度であっても、動脈硬化になる危険性が大幅に増えるといわれています。動脈硬化は、心臓病や脳卒中など、命にかかわる病気の引き金になります。つまり、メタボリックシンドロームは、放置すれば死につながるものであり、一刻も早い対策が望まれるものなのです。

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危険因子が重なると心臓病のリスクが急増
  日本の企業労働者12万人を対象とした調査では、軽症であっても、「肥満」「高血圧」「高血糖」「高脂血症」という危険因子を2つ持つ人はまったく持たない人に比べ、心臓病の発症リスクが10倍近くに、3〜4つ併せ持つ人では、なんと31倍にもなることがわかりました。 危険因子の数と心臓病のリスク(グラフ)
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黒幕は内臓脂肪!?

  「肥満はさまざまな疾患の原因になる」とよくいわれますが、特に注意したいのが、内臓まわりに脂肪がつく、内臓脂肪型肥満です。

  内臓の脂肪細胞が大きくなると、インスリンの効きを悪くするTNF-αや血栓をつくるPAI-1、動脈硬化の進行に関係するHB-EGFなど、体に悪影響を与える物質が分泌されます。さらに、アディポネクチンと呼ばれる、血液を修復する働きを持つ物質(脂肪細胞から分泌される善玉物質)が減少します。

  メタボリックシンドロームは、ほかにもさまざまな因子が複雑に絡み合って起こりますが、数々の善玉物質を分泌し、善玉物質を減らしてしまう内臓脂肪は、その大もとになる、黒幕のような存在なのです。

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メタボリックシンドロームチェック

1を含む3つ以上に当てはまると・・・メタボリックシンドローム

CHECK1 内臓脂肪の蓄積ウエスト周囲径(おへそまわり)を測って イラスト
  他の危険因子の影響を受けやすい、中性脂肪、またはHDLコレステロールをチェックします。
  ウエスト周囲径
危険域>> 男性85cm以上 女性90cm以上

CHECK2 高脂血症中性脂肪とHDLコレステロールを見る
  他の危険因子の影響を受けやすい、中性脂肪、またはHDLコレステロールをチェックします。
  中性脂肪   HDLコレステロール
危険域>> 150mg/dl以上 または 40mg/dl未満

CHECK3 高血圧通常よりも低めの値を基準に
  通常は「140mmHg/90mmHg以上」を高血圧としますが、それよりも低めの値を目安にします。
  収縮期血圧   拡張期血圧
危険域>> 130mmHg以上 または 85mmHg以上

CHECK4 高血糖糖尿病の「境界型」から要注意
  通常、空腹時血糖値「126mg/dl以上」を糖尿病、「110mg/dl以上126mg/dl未満」は「境界型」とされます。境界型から注意が必要になります。
  空腹時血糖値    
危険域>> 110mg/dl以上    
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今すぐできる!! メタボリックシンドローム対策

  メタボリックシンドロームの一番の対策は、何といっても内臓脂肪を減らすこと。幸い、内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、運動と食事療法によって減少しやすいといわれています。軽度の高中性脂肪血症や糖代謝異常、高血圧もまた、生活習慣の改善により正常化しやすいとされています。まずはできそうなことから始めてみましょう。


1 食生活編 食生活を見直そう
腹八分目を心がける
  満腹になるまで食べるとカロリーオーバーになりがちです。腹八分目〜七分目を心がけてみましょう。
成功のヒント
  • ごはん茶碗を小さいものに替える。
  • 最初から少なく盛ってもらう。
  • 食後すぐに食卓から離れる。
間食や甘いものをひかえる イラスト
  甘いものを食べると、内臓脂肪がたまりやすくなります。甘いものや間食はひかえましょう。
成功のヒント
  • 甘いものを食べたいときは、食後にして食べ過ぎを防ぐ。
  • 口寂しいときは、昆布やこんにゃくゼリーなど、低カロリーのものを摂るようにする。
アルコールは適量に
  アルコールはカロリーが高いうえ、食欲を増進させる働きがあり、つい食べ過ぎてしまいがちになります。日本酒なら1日1合、ビールなら中瓶1本程度に抑えましょう。
成功のヒント
  • 低カロリーのお酒を選ぶ。
  • まとめ買いはやめ、その日に飲む分だけ買うようにする。
  • おつまみに、枝豆や豆腐、サラダなど、植物性の食品を増やす。
味づけは薄めに
  味づけが濃いと、食が進んでしまうものです。家族の協力も必要ですが、よく話をして、味づけを薄めにしてもらいましょう。
成功のヒント
  • しょうゆやソースなど、後から自分で調味できる場合は、少なめにかけるようにする。
  • 味づけの濃い外食は、しばらくひかえる。
  • よく噛んで、素材そのものの味を楽しむ。
脂っぽい料理をひかえる イラスト
  揚げものや肉料理など、脂肪分の多い食事は内臓脂肪蓄積の原因になります。ごはんや野菜の割合を増やし、あっさりとした食事を摂るようにしましょう。
成功のヒント
  • 肉と魚を交互に食べる。
  • 肉の脂身の部分は残す。
  • 食事の前半に野菜をたくさん食べる。
2 運動編 体を動かそう
有酸素運動で脂肪を燃焼
  ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳など、酸素をたくさん取り入れて行う運動=有酸素運動をすると、脂肪を燃焼することができます。この有酸素運動を、1日に15〜60分程度、食後1〜2時間以内に、週3〜5回行うのが理想的です。
筋力トレーニングで基礎代謝をUP!! イラスト
  筋肉を鍛えると、基礎代謝量(安静にしていても消費されるエネルギー量)が増えて、その結果、脂肪を燃焼しやすい体になってきます。腹筋や背筋、腕立てふせなどの運動のほか、ダンベルやマシンによるトレーニングも、おすすめです。
ちょっとした時間を活かして・・・
  運動をライフスタイルの中に組み込んでしまうのも、ダイエット成功の秘訣です。例えば、会社の行き帰りに、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使う、バス停ひとつ分歩いてみるなど、できそうなところからチャレンジしてみてはいかがでしょう。また、テレビを見ながら踏み台昇降運動をしたり、CMの間に筋力トレーニングをするなど、ちょっとした時間を利用するのも良いでしょう。
3 チェック編 自分の状態をチェックしよう

  常に自分の状態を知るということも、減量に役立ちます。体重は1目盛りを100g、ウエスト径は1目盛りを2mmにしたグラフを作り、朝晩に計測して記録してみましょう。そして、体重やウエスト径が増えたときには、反省点を、減ったときには、がんばった点を書き込みます。励みになるとともに、どんな生活習慣が良くないのかということが見えてくることでしょう。

グラフ



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